FC2ブログ

総帥Diary - 徒然なるままに -

12 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 02

FC2カウンター

プロフィール

カレンダー

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

GoogleAdSense

月別アーカイブ

カテゴリー

メールフォーム

ブログ内検索

住めば都のコスモス荘 

「エルフを狩るモノたち」の矢上さんが漫画を描いているって事は以前から知ってましたがこれまでこの作品は未見。というわけで、この年末年始を利用して全ての媒体を一気に制覇しました。

ちなみに見た順番は、コミックス、アニメ、原作です。登場した順番を考慮すると滅茶苦茶なんですが、やっぱり矢上さんの漫画をまず最初に読みたかったもんで。

銀河連邦警察が次期導入予定のパワードスーツ候補を地球人2人にモニターさせ、実際に宇宙犯罪人と戦わせる事でその優劣を判断し、制式採用スーツを決定しようという企画。犯罪人達にはパワードスーツを着た地球人の正体を暴く事で恩赦を与える事が約束されており、ここに地球人と宇宙犯罪人との熱いバトルが始まったのだった。

とまぁこんな感じで物語は始まります。候補のスーツは2組あって、一つは玩具メーカーのオタンコナス社が社運をかけて開発した「ドッコイダー」、もう一つが業界老舗のエメラルドカンパニー社が技術の粋を集めて製作した「ネルロイド」。

ドッコイダーに選ばれたのは全てが平均点以下でぱっとしない専門学校生の桜咲 鈴雄。ドッコイダーのデザインを担当したタンポポは、「妹の小鈴」という嘘の記憶を関係者の記憶に植え付け地球で鈴雄をサポートする事になります。そしてそんな二人に銀河連邦警察が用意したモニター期間中の住居が、作品のタイトルにもなっているコスモス荘。

この作品のくだらなさ(良い意味での修辞)は、このコスモス荘に全ての関係者が終結してしまう事なんですよ。一号室の栗之華 栗三郎と孫の栗華はA級宇宙犯罪人Dr.マロンフラワーとサポートロボットのクリーカ。二号室の岼根 沙由里と下僕のピエールは、A級宇宙犯罪人ヒヤシンスとその下僕。三号室の梅木 瑠璃はA級宇宙犯罪人エーデルワイス。四号室の野菊 朝香とペットのウサギは、ネルロイドガールとサポート役のハナモモンチョ。五号室が鈴雄と小鈴で、六号室は未入居。

これらの面子がどう見てもバレバレの筈なのに、揃いも揃って誰一人お互いの正体に自ら気付く事が無いこの馬鹿馬鹿しさ。ベタな設定とストーリーではあるけれど、ドッコイダーのヘッポコぶりや基本的に善人である犯罪人達との間で繰り広げられるドタバタ劇が見ていて非常に小気味良い。

矢上さんのコミックは阿智さんの原作をベースにしていますので、基本的なキャラクター設定等は同じですが、物語の結末が大きく異なっています。また、アニメは矢上さんのコミック版がベースになっていますので基本的にはコミックス寄りなんですが、これまた結末が異なっており、有る意味それぞれ違う作品として楽しむ事が出来る珍しいメディアミックス展開をしています。

原作ではスイートピーを撃退して皆がコスモス荘を去った後、犯罪人と銀河連邦警察それぞれからスカウトを受けた鈴雄と朝香がその後どうなったのかは読者のご想像にお任せします的状態で幕引き。これに対してコミックスではスイートピーを撃退したコスモス荘の面々は銀河連邦警察地球署のメンバーとして引き続き共同生活を続ける事になり、アニメではウッドペック議員のクーデターを未然に防いだ褒賞として、犯罪人達が再びコスモス荘に戻ってくる所で終了。

どれも良い最後だったとは思いますが、その後に新しい物語が続きそうな原作が一番良かったかなと思います。あの終わり方も本当にベタなんですけどね、でも定番だからこその爽やかな印象を残してくれました。ただ原作では完結後に2冊刊行されているんですが、それぞれ時間軸としては途中のお話なんですよ。その後を是非書いて欲しいものだと思います。

それぞれの作品を通して見ていていくつか気付いた事があります。

・原作とコミックス・アニメの浪花節度

見た順番も関係しているかもしれませんが、矢上さんの方が浪花節度が高いような気がしました。「エルフ」でもそうですが、矢上さんの作品は笑いと泣きがうまく調合されています(小説家であれば浅田次郎さんが同じカテゴリに入るかなとか勝手に思ってます)。

阿智さんの原作でも最後の方は非常に熱い展開になるんですが、涙腺が刺激されるより早くそれを笑いで落とされてしまうので、何だか読んでてどっちにベクトルを向けて良いのか迷いました。あんまりウェットなのは阿智さん自身が苦手なのかなと推測。

コミックス3巻でお涙頂戴星人の攻撃に涙を流さない栗華が「お前など人間ではない」と揶揄され、マロンフラワーが「アンドロイドで涙があろうがなかろうが栗華はワシの孫娘じゃ」と一喝するシーンなんか正に矢上節の真骨頂。

で、しっかり最終話で栗華に涙を流させているところなんかは、お約束だと頭で理解しててもジーンと来ちゃいますよやっぱり。それと比べると原作ではマロンフラワーは栗華を「からくり人形」ときっぱりと言い捨てちゃってますからね、この辺の差異は見ていて結構際立ちます。

・栗華の鈴雄に対する気持ち

アニメやコミックスでは栗華の鈴雄に対する感情は微妙なラインでしたが、原作では結構はっきりと描写されてたのが印象的でした。福引で遊園地のチケットを鈴雄が当てれば当然のように一緒に行く気になるし、朝香に斗日雄(スイートピー)を鈴雄との隠し子だと言われれば回路がおかしくなって暴走する。次郎長を追い返す為に鈴雄から偽りの彼女になって欲しいと頼まれれば、ゼンマイを巻くのも忘れて駆けつけようとする。

ちなみに原作6冊目の後書きでは阿智さんもお気に入りが朝香から栗華にシフトしたと書かれており、それもあってか同作ではこれまでより踏み込んで栗華が鈴雄に惚れている事をはっきり描写していました。「ゼンマイ仕掛けの人形はボケ男に恋心を覚えるか」栗三郎教授には是非このレポートを完成させて欲しいところ。

・タンポポやエーデルの実年齢

コミックスでもスイートピーは見た目と実年齢が反比例する人種となっていましたが、原作では彼に加えタンポポやエーデル達も同じく「幼態進化」する星の出身である事が明かされました。タンポポについては地球人であれば25歳相当だとか。恐らくエーデルも似たような年齢かもしれません。

確かにいくら宇宙人でも小学3年生が企業に勤めてデザイナーの仕事するわけありませんから、こういう設定であれば納得はいくんですけど、そうすると実際に彼女達が地球で小学3年生として過ごしている部分が釣り合いが取れなくなります。まぁその辺はノリで察してくれって事なんでしょう。じっくり見ていくと結構設定に矛盾や無理な点が多いですが、そういうのは見なかった事にして楽しんだモノ勝ちなのがこの作品。

コスモス荘以外にも阿智さんはいろいろシリーズモノを書かれていますので、今後もう少し他の作品も読み進めてみたいと思います。今も千里眼シリーズを併読はしているんですが、松岡さんの本はシリアス路線なんで、たまにはこういう肩の力を抜いて読める作品も必要かなと。