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総帥Diary - 徒然なるままに -

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「ヘーメラーの千里眼」読了 

ヘーメラーの千里眼 (上) 小学館文庫 ま 2-15ヘーメラーの千里眼 (下) 小学館文庫 ま 2-16
ハルヒにどっぷりハマってしまった為、暫く放置状態になっていた千里眼シリーズに久々に戻ってきました。今作以降、文庫版の千里眼シリーズは上下巻構成が続いており、そういった意味でもそのトップバッターを飾る今作はどのような話になるのか興味がありました。以後ネタバレ注意。
今作を一言で表すなら「過去との決別」でしょう。物語は航空自衛隊のエースパイロットである伊吹一尉が演習中に起こした過失事故から始まります。

伊吹が演習中に標的の確認を怠った事で、中に入り込んでいた子供を標的ごと破壊してしまった。伊吹は事故が慢心から起きた事を認めた上で、自身を性格異常者であると主張し精神鑑定を求めます。

自衛隊の内情を理解した上で最良の報告を出す事を望んだ上層部は、かつて自衛隊に籍を置いていた岬 美由紀に白羽の矢を立てました。

こんな感じで美由紀が登場するわけですが、美由紀にとって伊吹は特別な存在でした。最終的には同棲までしていた割にプラトニックな付き合いだったようですが、ともかく恋人同士だったと言って差し支えない関係です。

かつての伊吹との関係を掘り下げていく過程で、今作では美由紀の女子高時代から防衛大学での日々がじっくりと描かれます。まさか好きな男と同じ場所に居たい、といった乙女チックな理由で防衛大学に入っていたとは正直びっくりですよ。

しかも美由紀が上坂を好きになった契機ってのが、実は上坂が知人に美由紀を襲わせてそれを助ける三文芝居だったというオチまで付いてきました。今の美由紀からは到底想像もつかないダメっぷりです。

防衛大学入学後も上坂を巡って早園 鮎香から陰湿な虐めを受けたり、セクハラ教官との関係を誤解されて捨て鉢になったりと、全編にコテコテな爽やか青春学園物のエッセンスが散りばめられています。

今回の敵役として登場したのは「アルタミラ精神衛生」というやり手の民間商社で、野心溢れる社長秘書の見鏡という女性が美由紀と対峙する事になりますが、アルタミラについてはこれまでに登場した恒星天球教やメフィストと比べると明らかに格下で、正直期待外れでした。

アルタミラの影には麝香片麻薬が存在しており、彼らの的確な患者治療はこの麻薬による自作自演だったというのが真相で、この組織もあっけなく美由紀に壊滅させられてしまいます。いつものように?美由紀が彼らに捕まりお仕置きされる事もありませんでした。

また事件の中心にあった子供については、実は破壊前に標的の中から脱出していて、両親が自分をどれだけ心配しているのか確認する為にずっと自宅の天井裏に隠れていた、という何ともハートフルなオチが待っていました。

伊吹は自分でも意識していないレベルで攻撃前の標的確認をしており、その点からも標的内に子供が居なかった事が立証されます。伊吹は性格異常者では無かったわけです。

アルタミラに監禁され麝香片麻薬中毒に陥っていた伊吹は、その後美由紀の献身的な介護もあって無事回復しましたが、子供の生存について一切知らされないままある作戦に参加するよう命令を受けます。

その作戦名こそ本作のタイトルでもある「オペレーション・ヘーメラー」です。この作戦は山東マフィアの麝香片密輸船を拿捕する海自護衛艦の援護と、密輸船と共に現れるマフィアの戦闘機迎撃にありました。そしてその作戦指揮官は何と原隊復帰した美由紀でした。

美由紀が伊吹に子供の生存を告げないまま彼を作戦に参加させたのは、生死を賭けた作戦を自らの力で成功させる事で喪失した自信と人生を取り戻させたい、そんな思いからでした。しかしそれはあまりにスパルタであり、臨床心理士資格認定協会が到底認める事の無い荒療治です。

マフィアの戦闘機ミグ31を駆る強敵との空中戦描写は、イマイチ盛り上がりに欠ける今作の中で唯一にして最後の見所でした。相変わらず不必要な程に戦闘機の発進プロセスが描写され、その後も専門用語の嵐が吹き荒れます。ほんとにこういうの好きなんだろうなぁ松岡さんは。

エピローグの石川県で発生した地震にカウンセラーとして赴けず悶々としていた美由紀を送り出してくれたのが、物語全編でダメっぷりを発揮して敵対していた高級官僚の亀岡書記官だったのにはちょっとホロリとさせられました。彼も美由紀によって救われた一人だったわけですね。卑屈さを取り去った様子の上坂も良かった。今の彼なら鮎香とやり直せるんじゃないでしょうか。

この事件を通じて美由紀はこれまで否定してきた自分の自衛隊時代を受け入れ、その中で本当の意味での過去との決別も果たしました。前を向いて歩き出した美由紀をこの先待ち受けているのはどんな物語なのでしょうか?

それは次巻「トランスオブウォー」で明らかになります。
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