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総帥Diary - 徒然なるままに -

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「千里眼 トランス・オブ・ウォー」読了 

千里眼トランス・オブ・ウォー 上  小学館文庫千里眼トランス・オブ・ウォー 下  小学館文庫
今回の舞台は現実世界でも未だ混迷を極めるイラク。「千里眼 岬美由紀」で航空機テロに巻き込まれた美由紀が、今作では「テロとの戦い」によって中東に齎された混乱の真っ只中に飲み込まれていきます。以後ネタバレ注意。
物語冒頭、シーア派武装組織「アル=ベベイル」に拉致された日本人ボランティア4名の解放交渉に臨床心理士として同行した美由紀は、交渉の最中現れたクルド人武装グループの襲撃に巻き込まれる。自ら囮となり人質達の脱出をさせたものの、その場に取り残された美由紀は囚われの身となってしまう。

さぁ今度はイラクで美由紀が大暴れ!かと思いきや、その後は暫く美由紀の自衛隊時代の話が続きます。正直「またかよ・・・」って感じなんですけど(;´Д`)。いやね、美由紀を理解する上で彼女の過去を描く事が大切なのは十分承知しているんですけど、ヘーメラーで散々過去話を見せられたばかりなので食傷気味は否めません。

長いシリーズにおいて過去のエピソードは往々にして「後付け設定」になります。松岡さんの「後付け」がかなり巧みなのは認めますが、後から後から「実はこうだったのだ!」って話が出てきちゃうと「はーそうですか」とちょっと引いてしまう部分もあるわけで。

こういう書き方してるので分かると思いますが、はっきり言って今回はあまり面白くありませんでした。その原因はやはりこの「昔話」にあったような気がします。全体の半分近くをこのパートに費やした割には当時の同僚達のキャラがイマイチ立っておらず、彼女たちが再登場した後半も美由紀との絡みが弱すぎます。

もう少し里佳子の内面描写があれば、最後に美由紀と和解するシーンにもっと大きな感動が伴ったでしょうに、どうにも勿体無い。いっそのことイラクの話は無しにして下巻もそのまま自衛隊の話を続けてしまえば良かったんじゃないかと思いますよ。

ところで今回の後付け設定の最たるものは一ノ瀬恵理香の存在です。美由紀の両親が交通事故に巻き込まれて突っ込んだ家が一ノ瀬家であり、この事故で美由紀と恵理香それぞれの両親が死亡。美由紀は生き残った恵理香への賠償として藤沢の実家を譲渡、更にPTSDになってしまった恵理香のカウンセリング費用の負担を申し出ます。

美由紀が救難部隊を志願したのは人命救助への志以外に、恵理香の治療費を払っていく為の昇給を得たいという現実的な理由も含まれていたわけですね・・・ってうぉぉぉおおおおおい!!恵理香の両親、死因変わってるYO!!!!!

「蒼い瞳とニュアージュ」では、恵理香の両親の死因は父親の無理心中、とされていましたので、この点については次巻「千里眼とニュアージュ」で何らかのフォローがされる事を祈ってます。

自衛隊時代の話は両親の事故死から救難ヘリパイロット選抜テストの顛末までが描かれました。結局このパイロット選抜テストは上層部の意向で最初から門倉里佳子に内定しており、選抜に漏れた美由紀はその後戦闘機部隊に配属され、女性自衛官初のF-15パイロットへの道を突き進む事になったわけです。以上回想終了。

アル=ベベイルにアメリカのスパイと疑われ囚われてしまった美由紀でしたが、そこで「トランス・オブ・ウォー」理論を口にした事で処刑されかけます。この理論は戦場で兵士が非人間的行為に至る過程を精神科学で立証しようとするものでしたが、彼らには「戦士」を侮辱する発言と受け取られてしまったのです。

すんでのところで死刑を免れアル=ベベイルの本拠地に移送された美由紀でしたが、今度はその拠点が米軍に急襲され、これがシーア派武装勢力の集結を招き、米軍との本格的な衝突へと発展していきます。

何としてもこれ以上の死傷者を出したくない美由紀は、集結したシーア派武装勢力の集会において「トランス・オブ・ウォー」の危険性を訴えますが、彼らにその言葉は届かず無法地帯と化している最悪の捕虜収容所に送られてしまいました。千里眼名物「監禁で危機一髪」の始まりです。

性的な暴行は無かったものの、肥溜めに放り込まれボロ雑巾のようにボコられる美由紀。松岡さんはきっとドS気質に違い無い。そうでなければヒロインにここまではしないでしょう。さすがの美由紀も死を望んでしまう位絶望的な状況でしたが、このピンチを救ったのが「ジャジ・ア・バラカ」でした。

誰かが助けるだろうとは思ってましたが、まさか「千里眼の死角」に出てきたディフェンダー衛星の被害者が出てくるとは、この展開はさすがに予想出来ませんでしたね。

ジャジがディフェンダーに攻撃される直前、彼の前に謎の男が現れ予言めいた発言をしていました。「千里眼の死角」を読んだ当時は、メフィスト関連の人間だと思ってましたが、結局彼もジャジがトランス状態に入った際に見ていた幻覚だったと結論付けられています。これも後付設定だと思いますけど、それにしてもうまく繋げたものだと感心します。

ジャジは自分が見た幻影の原因を知る為、「トランス・オブ・ウォー」理論の権威であるマスウード・アブドゥルハミード教授を訪ね、教授のカウンセリングを受けた事でこれまでの人生を反省すると共に理性を鎮めずに行動する術を学びました。またその過程で同じ理論の研究者である美由紀の存在を知り、教授と美由紀を引き合わせる為に彼女のピンチに駆けつけたという訳です。

ジャジは命を賭して美由紀を助けました。美由紀は無事教授と邂逅しましたが、「トランス・オブ・ウォー」理論を証明する事で戦争を回避させようとする美由紀の意思に彼は賛同しません。教授も自身の理論を否定はしていませんが、その実現には膨大な時間がかかると主張します。しかし美由紀は待てませんでした。彼女は今そこにある危機を防ぐ為、一人オンボロのプロペラ機に乗り込み戦場に向かいました。

プロペラ機は「非戦闘機」を示す黄色で塗られ、一切兵装を施していませんでしたが、トランス状態に陥った米軍とシーア派武装勢力それぞれから執拗に攻撃を受ける事になります。彼らをトランス状態から覚ます為、美由紀はプロペラ機に満載していたマグネシウムに火を付け大規模なフラッシュを焚きました。こうして美由紀は「トランス・オブ・ウォー」の危険性をその身を以って世界に示したのです。

この事件を境に中東での紛争は急速に沈静化し、イラク暫定政府・アメリカ合衆国とシーア派武装勢力の間で平和協定が結ばれるまでに至りました。美由紀の活躍により中東に平和が訪れたのです、ありがとう岬 美由紀!

・・・(´<_` )

いや、まぁ本当に早くそうなって欲しいとは思いますが、しかし現実はそれ程甘くない。未だイラクでは争いが絶えず、アメリカの新政策として更に2万人以上の駐留兵の増員が決まったばかりです。

今作ではジョーイ・E・ブッシュというどうみてもアレなアメリカ大統領が登場し、徹底的に悪役として描かれています。彼と前大統領である父親とビンラディン一族は実は蜜月関係にあり、ブッシュ父子の経営する軍需産業企業マードック社は、その創成期からビンラディン一族の投資を受けていました。

ウサマの起こした9.11テロはビンラディン一族の内ゲバ闘争の結果であり、その真相と一族との繋がりが世に出る事を恐れたブッシュは、ウサマをアル=カイーダなる架空の国際テロ組織の指導者に認定。そしてフセイン政権がアル=カイーダを支援し、国内に大量破壊兵器を隠匿としている可能性があるとしてイラク侵攻を行った、というトンデモ設定がされており、いろんな意味でびっくりしました。

しかもこの大統領には心理分析顧問という肩書きで、メフィスト子会社のマインドシーク社から出向している胡散臭い女が張り付いて良からぬ入れ知恵をしている徹底振りで、どうみてもダメ大統領です、本当にありがとうございました。

それに対する日本の総理大臣は小泉俊一郎なる人物で、この人もまぁあの人なわけですが、結構な人格者として描かれています。松岡さんは小泉贔屓の人だったのかなぁ?。ともかくブッシュと彼が率いるアメリカに対する悪意はビンビン伝わってきましたよ。

物語終盤、四方八方をトランス状態に陥ったF-16に囲まれた美由紀がマグネシウムの粉でフラッシュを焚いて彼らの目を覚まさせたシーン。多分これが今作の一番盛り上がるシーンだったんでしょうが、これって「千里眼 運命の暗示」の最後で集団暗示にかかっていた中国人民に対して行った気孔のパフォーマンスと同じだったので、正直あの時程のカタルシスは感じませんでした。

全体の半分が本編とは関係無い中途半端な過去のエピソードに費やされ、挙句後半は尺が足りない上にオチが前作の焼き直しでは満足が行く筈もありません。「千里眼の死角」でメフィストとの闘争に区切りがついてしまったせいで、その後の「ヘーメラー」と今作は現実路線の話にシフトしてしまいました。また、過去のエピソードと絡めた展開である関係上、これまで共闘してきた蒲生や嵯峨達などの既存メンバーも一切出てきません。

やはり得体の知れない敵の驚異に美由紀とその仲間達が共に立ち向かってナンボの千里眼シリーズでしょう。昔話はこの辺で終わりにして、血沸き肉踊るエンターテインメント路線に回帰して欲しいと切に願う次第です。
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