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総帥Diary - 徒然なるままに -

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「千里眼 背徳のシンデレラ」読了 

千里眼背徳のシンデレラ (上) (小学館文庫)千里眼背徳のシンデレラ (下) (小学館文庫)

「千里眼 背徳のシンデレラ」を読み終わりました。ネタバレ満載なのでご注意を。
今作では千里眼ワールドの原点である友里佐知子と岬美由紀の因縁についに決着の時が訪れます。

友里は「千里眼 洗脳試験」で既に死亡していますが、彼女の黒い意志は恒星天球教幹部である鬼芭阿諛子に受け継がれていました。鬼芭阿諛子は「千里眼 マジシャンの少女」で初登場し、美由紀の名を騙って暗躍しましたが、最後には美由紀に撃退されその後行方不明となっていた人物です。その阿諛子と美由紀が雌雄を決する為に再び相まみえるわけですから、いやがうえにも期待は盛り上がります。

さて今回の物語は大地震で国土の殆どが水没してしまった日本から始まります。

といってもこれはこれまでシリーズを読んできたファンにはすっかりお馴染みのメフィストフェイクであり、そのターゲットとなっていたのが耐震構造偽装問題で時の人となっていた音無耕市なる人物です。

前作はホリエモンでしたが今回は姉歯建築士ですね。ちょっと安直すぎるきらいはありますが、松岡作品では時事ネタは単なるエッセンスに留まらないので、まぁこの辺は良しとしましょう。

このなんちゃって日本沈没は、音無に耐震構造偽装の真相を語らせる為だけにメフィストが海外に作ったという相変わらずのトンデモ計画なんですが、美由紀によってその陰謀は失敗に終わります。

ちなみにこのやりとりの中で音無が重度のアニオタである事が描かれるんですが、美由紀の作戦に同行していた外務省の成瀬(トランスオブウォーで登場)も実はアキバ系だった話が出てきたりして、読んでるこっちとしてはどうにも落ち着かない展開でした。ていうか松岡さんプリキュアとか詳しすぎ(;´Д`)

音無は自分の偽装問題を正当化する為に飛行機テロまがいの事を画策していたんですが、その際飛行機パイロットに前頭葉切除手術が施されていた事で、美由紀はそこに友里の影を感じ取ります。

その頃、鬼芭阿諛子はインチキ予言で大もうけをしていた白紅神社の神主を脅迫し、まんまと神主の座に収まっていました。美由紀は蒲生の要請で白紅神社に同行しますが、結局阿諛子の逮捕には至らず、代わりに神社内で見つけたSDメモリカードから友里の日記をゲットします。

ここから先は友里の日記を辿るという形で、彼女の生涯が克明に描かれます。描写手法としては「イリュージョン マジシャン第2幕」における椎橋の物語に近いかと。

分厚い上下巻のほぼ半分がこの友里の日記に割かれており、またヘーメラーやトランスオブウォーのようなダルさが出てくるかと思ったんですが、そこはさすがに友里の半生だけあって読み応えのあるものでした。

友里がわずか6歳で売春婦をしていた衝撃の事実。その後の左翼活動と社会主義、共産主義への傾倒。その友里を特別顧問候補としてスカウトしたメフィストと、そこで出会った若き日のマリオンとダビデ。マリオンから伝授された前頭葉切除手術と洗脳手法。特別顧問候補研修試験として取り組んだ3億円強奪事件。その後メフィストと袂を分かった友里が起こしたよど号ハイジャック事件。

良くもまぁこれだけの事件と関連付けしたもんだと、その大胆なストーリー作りには心底感心させられます。松岡さんの読者に与えるリーダビリティの高さは半端無い。

日記が進むうちにメフィストでの研修期間最後に友里に与えられた2人の影武者と、そのうちの1人が産んだ子供の存在が明らかになりますが、この子供を友里が引き取り自身の野望達成の為に育て上げたのが今の鬼芭阿諛子です。

阿諛子は常に友里に付き従い彼女をサポートし続けていました。その野望が美由紀によって阻止された時も、友里が刺殺された現場にも阿諛子は居たわけで、美由紀への憎しみは相当なものです。

阿諛子は友里の悲願だった日本の資本主義打倒と共産主義政府確立の為クーデターを画策していました。阿諛子と行動を共にしていたのは、友里と共に左翼活動をしていた良世連のメンバー達です。

彼らと共に21世紀自動車連合研究所(自連研)なる政府の秘密機関が開発していた飛行自動車を強奪し、国会議事堂を強襲、総理を含む閣僚を皆殺しにする計画です。しかし美由紀の機転によりこの作戦は失敗に終わります。

阿諛子達が襲った国会議事堂は、かつて友里が北朝鮮に建築した日本制圧を想定した軍事訓練施設だったのです。美由紀はC130の離陸阻止に失敗した時点でGPSを狂わせ、彼らが北朝鮮に向かうよう仕向けていました。

北朝鮮人民軍の猛反撃を受け、からくも日本に逃げ帰った阿諛子ですが、今度は自衛隊がC130をパトリオットミサイルで撃墜しようとします。

撃墜直前にC130に乗り込んだ美由紀は、友里が阿諛子を野望実現の駒としか見ていなかった事を気づかせようとしますが、本能的拒絶により友里の日記から都合の悪い箇所を認識しないようにしていた阿諛子は、その説得に応じません。結局C130は撃墜され、直前に飛行自動車で離脱した阿諛子は美由紀の言葉の真偽を確認する為に白紅神社に飛びます。

改めてSDメモリカードの日記を確認した阿諛子は、これまで認識出来なかった記述を見て愕然とします。友里は母親では無い。自分への愛情など無かった。その事に気づいた阿諛子はようやく自我を持つに至りました。

美由紀はそんな阿諛子に罪を償うよう促し、自分の養子になる事を提案します。名前もかつて友里の影武者が付けた名を取って「岬 歩美」と命名しました。

穏やかな表情でその名を受け入れた阿諛子でしたが、その後彼女は徐に服毒自殺してしまいます。この薬は東京湾観音事件の際、マリオンが友里に渡していたものです。この時友里は阿諛子に薬を捨てるよう指示していましたが、それ以後ずっと持ち続けていたのです。

メフィストの薬は体に損傷を与えず死に至らしめる効果があり、また位置情報を発信するユニットと連動している為、服毒後すぐにメフィストの葬送部隊が回収に来る事になっていました。阿諛子は自分の遺体をメフィストには渡さず、人々に役立てて欲しいと遺言を伝え息絶えます。

その葬送部隊を率いて美由紀のもとにやってきたのはダビデでした。ダビデは今回の事件を小説化して世の中の目を欺くつもりである事を美由紀に伝えます。フィクションであれば、友里の日記に書かれたメフィストの真実を信じるものは誰も居ないし、日記に目を通した美由紀や蒲生達に危害を加える必要も無くなる。これはダビデなりの配慮だったんでしょう。

御船千鶴子の悲劇に端を発した近代日本史のイレギュラーに美由紀が終止符を打った。その事に対する礼をしたいと申し出たダビデに対し、美由紀は阿諛子が息を引き取った草原に彼女の墓を立てて欲しいと伝えます。こうして美由紀と友里の永き闘いは終わりました。

というわけで上下巻共に非常に膨大なボリュームで展開した今作でしたが、ここ暫くの作品と異なり中だるみを感じる事も殆ど無く、一気に読み進める事が出来た久しぶりの快作だったと思います。

友里が日本近代史に根深く関与していたという設定の荒唐無稽さも面白さの一つですが、今回は何より友里・ダビデ・ベロガニアの深い関わりやメフィストの内情が描かれた事が興味深かった。

初期のメフィストは本当に底の知れない恐ろしさが目だっていましたが、ダビデの登場以降サイコホラー色は薄れ、ある意味身近な存在となりつつありました。そして今作では、メフィストが一枚岩では無かった話や、ダビデやマリオンなどの若手が旧態依然の組織を変えようとしていた詳細が描かれた事で、企業としての存在感がより強くなった感じがします。

最後に美由紀と阿諛子が和解して穏やかに会話をするくだりは、読んでいて李 秀卿(リ・スギョン)とのエピソードに被って見えましたが、阿諛子は犯した罪が大きすぎました。北朝鮮では多くの人間を殺していますし、どう考えてもこのままでは終わらないだろうと思っていたら案の定命を絶ってしまいます。彼女の最後には「洗脳試験」の時にはあまり感じなかった物悲しさを強く感じました。

友里の日記の筈なのに、ダビデ視点の記述があったりするのはご愛嬌だと思いますが、美由紀がこの日記を読んだ事で、友里への気持ちに変化があったのか気になるところですね。日記を読み終わった後に友里を客観的に分析している記述はありましたが、感情面でどう捉えたのか見えませんし。

最後に気になるのはやはりマリオン・ベロガニアですね。今作では若き日の彼の姿が描かれましたが、その才能はあのダビデすら舌を巻くものであり、予告通りその後彼はメフィストの総裁にまで登りつめました。それ程の人間であったマリオンが「千里眼の死角」でお粗末な最後を遂げたのがどうにも釈然としません。

東京湾観音で友里と再会した時のマリオンはかなり年をとっていた描写がされていましたが、「千里眼の死角」で登場した時はもっと若々しい印象がありました。あのマリオンは一体何だったんでしょうか?。やっぱりこの後再登場がありそうな予感がします。

さて次回は「ブラッドタイプ」です。嵯峨が久しぶりに登場し、恵梨香も再登場らしいのでどんな話になるのか非常に楽しみです。
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