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総帥Diary - 徒然なるままに -

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「ブラッドタイプ」読了 

ブラッドタイプ
読み終わりました「ブラッドタイプ」。ネタバレ満載ってことでひとつよろしく。
タイトルが示すように今作のテーマは血液型です。自衛隊と米海兵隊の合同訓練を視察した防衛庁長官が、海兵隊員のブーツに書かれた血液型を見て「隊員編成を血液型で考慮しているんだナァ」とトンデモ発言した事を契機に世の血液型性格ブームが一気に加熱。学校でのいじめや職場差別など深刻な社会問題に発展します。

血液型性格判断には何ら科学的根拠は無いにも関わらず、それを完全に否定する明確な方法が存在しない非常に厄介な問題です。それを国家の要職にある人間が口にした事でブームに火が付いてしまったわけですが、当の長官は自身の発言に何ら問題が無いと繰り返すばかりで、いっこうに撤回する意思を示しません。そこで美由紀は元自衛官の経歴を活かし長官を説得しようと試みますが敢え無く失敗に終わります。

世間では血液型を苦に自殺を図る人間まで現れ、それを止めようと登場したのが嵯峨です。「千里眼の死角」以来の登場ですから本当にお久し振りですね。そしてこの自殺騒ぎで嵯峨を間接的にアシストしたのが恵梨香でした(この時点で両者は面識無し)。彼女は「千里眼とニュアージュ」以後ニートから脱却し、再び臨床心理士として活動していました。

かくして本作でついに3人のカウンセラーが一同に会したわけです。

冒頭の自殺騒ぎからどうも嵯峨が具合悪そうにしていたと思ったら、何と彼は急性骨髄性白血病を患っていました。しかも美由紀と出会う前に一度発症しており今回は再発との事。美由紀はその事実を知り激しく動揺します。

「千里眼の死角」ラストで美由紀は嵯峨に告白し、彼はそれを「寂しさを埋める為に発現したもので本当の愛情では無い」とばっさり切り捨てましたが、そこには本当の理由が隠されていたわけです。難病がいつ再発するか分からない病弱な自分が美由紀のお荷物になる事を彼は恐れていました。いやはやこれは切ないですよ。

そして今作では血液型以外にもう一つ白血病が大きなテーマとして取り上げられています。その鍵となるのが「夢があるなら」というTVドラマです。これはブログで出会った白血病の女性とそれを支えた男性の現実にあった話を原作として製作された、という設定となっており、世間では血液型性格判断と同様大ブームとなっています。

しかし物語中の白血病に関する誤った描写が世間に多大な誤解を与える結果となっており、先の血液型ブーム同様歪んだ認識を社会に蔓延させる元凶となっていました。嵯峨は自身が白血病を患い、また他の患者の不安を一番近い位置で感じる立場にある事から、この歪んだ状況を一刻も早く解消する必要があると美由紀に訴えます。

美由紀は「血液型性格判断問題の解決」と「白血病に関する正しい認識の啓蒙」という2つの難問に立ち向かう事になるわけですが、そこには幾重もの障害が立ち塞がり思うように先に進めません。また、思いを寄せる嵯峨が生死の境にある事から、美由紀はこれまで見せた事の無かった弱さを曝け出します。そんな美由紀を献身的にサポートするのが恵梨香の存在です。

「千里眼とニュアージュ」では美由紀を憎み徹底的に拒絶していた恵梨香でしたが、今は何よりも美由紀を大切に思い慕っています。挫けそうになる美由紀を叱咤激励する彼女の姿を見ていると本当に目頭が熱くなりました。涙腺やられまくりですよ。

恵梨香の活躍によって「夢があるなら」の原作が実はニートが書き綴った事実無根の妄想話だった事が明らかになり、このドラマが世に与えた白血病に関する誤解を解く事には成功しましたが、血液型問題は未だ解決の道筋が見えず、その事が嵯峨の身に更に深刻な事態を引き起こしていました。

この頃嵯峨の入院していた病院に搬送されてきた白血病患者の女性が、骨髄移植の際の輸血で自身の血液型がB型になってしまう事を嫌い、手術を拒否し続けていました。嵯峨は何とか彼女を説得しようと試みますが、B型への嫌悪が激しく頑として手術を受けようとしません。嵯峨はドナーが見つかり手術を受けられる状態になっていましたが、彼女が手術を受けるまで自分も手術を受けないと決心します。

美由紀は血液型ブームの牽引役であった「血液型カウンセラー」城ノ内のインチキを暴く事に成功しますが、既に世の中には彼以外の亜流が多数登場しており、血液型性格判断に科学的根拠が無い事を世間に浸透させるには至りませんでした。

ここで美由紀は賭けに出ます。臨床心理士と医療心理士のいずれが国家資格に相応しいかを計る為に総務省が企画していた心理テストに、世に広く出回っている血液型性格判断の書物に記載されている診断結果をランダム回答する仕組みを盛り込んだのです。このテストは実施者の実に9割が「結果に信憑性有り」と回答しました。

ランダム回答なのに自分の診断結果は正しく感じられ、他の人の結果は自分には該当しないと印象付けるに至った理由は「心理的補完作用に基づく錯覚」でした。血液型性格判断もまさにこれに起因したものであり、血液型によって人間の性格が決定付けられる事は科学的に有り得ない、という事実がこの心理テストによって証明されたわけです。

こうして一連の血液型性格ブームは収束に向かい、嵯峨もすんでのところで一命を取り留めました。

とこんな感じで大団円を迎えるわけですが、今作はとにかく全編に泣かせる要素がてんこ盛りで、涙腺が弱くなっているオッサンとしてはやられっぱなしの1冊でした。昼休みや帰りの電車で目をうるうるさせてしまうなんて・・・悔しいっ!・・・ビクビク

ただ今回ちょっと冗長と感じた部分として、白血病患者の少年とそれを支える彼女のエピソードが挙げられます。確かに城ノ内のインチキ描写と絡める為に、この女の子が必要だったんだと思いますが、ちょっとこの二人にページかけすぎたかなぁというのが正直な感想。

途中「夢があるなら」の真相を暴く過程で「Nちゃんねる」なる掲示板が登場し、美由紀が自分のスレでハァハァされているのを見て激怒するところとか、城ノ内が過去にマジシャンとして弟子入りしていたのが「マジシャン」に登場した飯倉だったりとか、小ネタはしっかりと入れ込まれていてニヤリとさせられりたり。

大きな障害を乗り越えた美由紀と嵯峨がいよいよ付き合う事になるのかと思いきや、「男女を超越した強い信頼と絆で結ばれた関係」へと昇華されたようです。物足りないような安心したような複雑な心境ですが、「千里眼の死角」で感じたもやもや感は有りませんね。

美由紀と嵯峨の関係がより前向きなものに変化した事も喜ばしい事ですが、それ以上に今作で読んでいて嬉しかったのはやはり美由紀と恵梨香の関係ですね。

「蒼い瞳のニュアージュ」に登場した頃の不安定な恵梨香、「トランスオブウォー」で描かれた美由紀の両親の事故とそこから始まった二人の確執、そして「千里眼とニュアージュ」で辿り着いた二人の和解。ここまで数冊かけて見続けてきたからこそ、お互いを信頼し支えあう美由紀と恵梨香の姿に強く心を打たれました。

今作で千里眼シリーズには一応の区切りが付きますが、引き続き角川での新シリーズが待っています。まだまだ長い付き合いになりそうです。
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