勿論このステルス兵器とは前作「The Start」のサイドストーリーに登場した日本人が開発した、フレキシブル・ペリスコープを応用したものです。どうひん曲げても必ず向こう側が見えるグラスファイバーの両端を、電波吸収素材で出来た円筒型の強化プラスティック表面に敷き詰め、それをトマホークに被せる事で見えないミサイルを実現した、というのです。
レーダーに探知されず目視不可の核ミサイルが日本を狙っている。実際にそれを予言するように、株式市場では日本企業の株が軒並み暴落していました。しかしトマホーク1発では日本企業を壊滅させる事は到底不可能。あまりにも非現実的な話と、傲慢な防衛省・政府の態度に嫌気がさした美由紀はチェチェン行きを選びました。
ところがチェチェン行きのフライトの為成田に向かっていた美由紀は、車中に置いていたマトリョーシカ人形から噴出したガスに眠らされ、あっさり拉致されてしまいます。ちなみにこの人形は前述のロシア大使から渡されたもので、チェチェン難民の子供が作ったもの、とされていたものです。
目が覚めた美由紀は古風なデンマーク風の街並みの中に居ました。持ち物は一切無くなっていた代わりにNintendoDSライクな端末が手元に有り、この端末の画面にはディフォルメされた美由紀と3D空間が描画されていました。どうやら美由紀は何らかのゲームに強制参加させられたようです。
この街で出会った他の人間からここが「ファントム・クォーター(幻影の地区)」であるという情報を入手した美由紀は、その後端末の指示に従いゲームを進行させ、最後の課題もクリアします。そこで美由紀は全ての真相を知りました。
このゲームはフレキシブル・ペリスコープを応用した「インヴィジブル・インベストメント(見えない外皮)」をどれだけ見破られる可能性があるのか確認する為にロシアンマフィアの仕掛けた罠だったのです。
ファントム・クォーターに拉致されてきたのは透視能力を持つと評される世界中の能力者達でした。ゲームにクリア出来なかった者は口止め料を渡して強制送還し、最終的に残った優秀な人間はこの世から抹殺するという恐ろしい計画です。
このマフィアを操っていたのが、メフィスト・コンサルタントグループ企業であるマインドシーク・コーポレーションのジェニファー・レインです。
彼女の表向きの狙いは日本企業を壊滅させ海外企業株価の吊り上げ操作とそこから得られる利益獲得といったところなのでしょうが、「トランスオブウォー」「千里眼とニュアージュ」で黒星を喫し、美由紀に並々ならぬ敵愾心を頂いてきた彼女としては、むしろ美由紀抹殺の方が主な目的だったと思われます。
しかしトマホーク発射を確認しようとロシアンマフィアの屋敷を訪れたジェニファーは、そこで初めてインヴィジブル・インベストメントを見抜いた数少ない能力者が美由紀だった事と抹殺し損ねた事実を知らされ怒りに打ち震えます。
からくもガス室送りを免れた美由紀は、その時マフィアの手下が話をしていた「真珠湾の垂直発射装置」という言葉から、射出地点が真珠養殖で有名な英虞湾である事に気付きます。
ジェニファーの狙いは、大型台風が日本の中心に位置する浜岡原発に到達した瞬間をトマホークで爆撃する事でした。トマホークの核弾頭が原子炉を直撃すればその威力は水爆並みとなり、被害も甚大なものとなります。また台風によって死の灰が日本全土を覆い、日本中の工業都市が軒並み放射能汚染され日本は名実共に壊滅してしまう。
トマホーク迎撃機を飛ばす為の申請には時間がかかり、パトリオットでの迎撃やイージス艦出動も台風によって適わず、最早打つ手は一つしかありません。
さ ぁ 盛 り 上 が っ て ま い り ま し た
ベンツを飛ばして遠州灘沿いの砂浜に乗り込んだ美由紀は、自衛隊の基地から強引に持ち出した携帯式地対空ミサイル(携SAM)を構えていました。暴風雨の中、選択的注意によりトマホーク襲来を察知した美由紀は、携SAMのトリガーを引く瞬間にこう呟きます。
「それで見えないつもりなの?」
くっはぁ〜!!この瞬間の為に読んできたようなもんですね今作は。かくしてジェニファーの野望は今回も美由紀の手により文字通り打ち砕かれたわけです。何かだんだんジェニファーが鬼芭阿諛子化してるように見えますよ。こりゃ死亡フラグ立ったな。ジェニファーカワイソス(´・ω・`)
以下今作で気になった点をいくつか。
・「The Start」限りの登場かと思ってた舎利弗や、友人の由愛香。彼らの再登場はちょっと意外でした。今後もサブレギュラーとして登場し続けるのかな?
・サイドストーリーに名前だけ出てきた朝比奈宏美。「The Start」でも登場していた朝比奈ですが今回も話には絡まず仕舞い。彼女は嵯峨以上に出番が無くなって久しいキャラなので、新シリーズで出番が増えればいいなぁと思います。
・美由紀にトマホーク対策チームに入るよう要請してきた広門空将。元々千里眼シリーズ初期に美由紀と因縁の深かったのは仙堂空将だったんですが、その後「ヘーメラー」で仙堂の後任として出てきたのは確か違う空将だったような・・・。にも関わらず新顔とおぼしき広門と旧知の間柄ってのはちょっとおかしな感じがしますね。もしかしたら美由紀が現役の頃、まだ空将ではなかった広門を知っていたのかもしれませんが。
・美由紀が指導する予定だった心理相談員見習いの荻庭夕子。サイドストーリーに登場した香苗がこの研修生の名前を騙って美由紀に近づこうとしたわけですが、その為だけの設定だったのかなぁ。後輩の指導で四苦八苦する美由紀の姿を見てみたいのですが('∀`)。
新シリーズは今のところ1冊完結で続いていますが、その分話の進み方がちょっと駆け足気味な感じがします。上下巻までやるこたぁ無いですが、1冊のボリュームをもうちょい増やしてもいいんじゃないかなと個人的には思いますね。
次回は「千里眼の水晶体」です。ジェニファーが懲りずにリベンジ仕掛けてくるのか乞うご期待!
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