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総帥Diary - 徒然なるままに -

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「イリュージョン」読了 

イリュージョン:マジシャン第2幕 (小学館文庫)
マジシャンシリーズ2作目にあたる「イリュージョン」を読み終わりました。以後ネタバレ注意。
舛城はある事件について沙希の力を借りる為、2年ぶりに茅ヶ崎にある彼女のバイト先を訪れた。しかし過去の事件とFISMでの挫折によって大きく傷ついていた沙希は、舛城の依頼を拒絶する。

舛城が追っていた事件の容疑者は、椎橋 彬という19歳の少年だった。人付き合いが苦手でマジックが唯一の取り得だった彼は、両親の離婚により中学卒業を前に家を出る事を余儀なくされる。東京に出た椎橋は年齢を偽り警備会社のバイトとして潜り込むが、その後「若き万引きGメン」として世間の注目を浴びるようになる。

彼はマジックのテクニックが万引きに応用出来る事を良く知っており、万引きGメンとしての実績を上げながら、自身もその影で万引きを繰り返していた。椎橋にとってこの仕事はまさに一石二鳥だったのだ。バイトから正社員、そしてとうとうブランド店の専属警備長にまで上り詰めた椎橋を疑う人間は誰もおらず、彼はまさに栄華の頂点を極めていた。

しかし唯一椎橋の犯行に気付いた人間が居た。それが舛城である。

その頃たまたま3課が追っていた窃盗事件の話を耳にした舛城は、被害内容から犯人像を「家出少年」だと推察していた。被害店舗のビデオを分析していた時、そこに写っていたベンツの持ち主が警備員の椎橋である事を知った舛城は、椎橋が年齢詐称をしていた事実を突き止め、彼が今回の事件の犯人であると確信する。

ブランド店で高級時計を万引きしていた椎橋を追い詰めた舛城だったが、あと一歩のところで逃げられてしまう。椎橋が20歳を迎える前に何としても彼を逮捕し、少年法で裁きを受けさせ更正の機会を与えたい。そう考えた舛城は執念の捜査を続ける。

舛城は椎橋の居場所を掴む為、サイバーフォースセンターの責任者になっていた恵子に協力を求めた。恵子が椎橋の特徴と性格をプロファイリングしながら検索エンジンでの調査を進めるうち、彼が盛岡のプロバイダーを使用している事を突き止める。

椎橋は銀座から逃走した後、盛岡で若きキャバクラ経営者となり手腕を発揮していた。また、彼はこの土地でも当然のように万引きを繰り返しキャバクラ経営の資金に充てていた。

椎橋の母親が事故死した現場に立ち会った舛城は、彼が出入りしている掲示板でその事を告げチャットに来るよう呼びかける。チャットで再び合間見えた2人だったが話は物別れに終わった。舛城がいずれ自分の下を訪れる事を悟った椎橋は、キャバクラで懇意にしていた女性従業員を誘い駆け落ちを図るが、不審な点を感じた女性が警察に通報、とうとう椎橋の潜伏先が判明する。

ファーストフード店でのトラブルからバイト先を辞めた沙希は、明確な意思を持たないまま舛城の捜査を手伝う事になるが、その中で椎橋という少年が自分と同じようにマジックに人生を振り回され、深い孤独と悲しさの中に居る事を強く感じる。

舛城達は椎橋の潜伏先に急行するが椎橋は既に現場から逃走していた。現場に残されていたマジックアイテムを見た沙希は、彼の行き先がかつて自身のバイト先だったマジックショップ「ジーニー」である事に気付く。沙希はその事実を舛城に告げる事無く一人「ジーニー」へ向かう。

「ジーニー」で椎橋と出会った沙希は、彼に対してこれまで自身の中に抱えていた心情を吐露する。マジックにはタネが存在する。タネがある限り相手に本当の事実を伝える事が出来ない。その事が常に他者との間に壁を作る事につながってしまい、また他者とのコミュニケーション手段としてマジックの技術を追求しても、他者からは好奇の目で見られるだけでそこには本当の意味での心の交流など存在しない。必死になればなるほど周囲から孤立してしまう悲しいピエロ。

しかしピエロになるきっかけは実は自分自身の中にあった。他者に対して心を開こうとしなかった彼らの弱さがマジックへの依存を助長し、負のスパイラルを形成していた。マジックを使いこなしていると思っていたのは錯覚であり、マジックに騙されていたのは他ならぬ自分たちだったのだと。

沙希の言葉を受け入れた椎橋は、その後駆けつけた警察に逮捕された。取調室で椎橋と対峙した舛城は、「自分を信じて自分の思うように生きろ」と彼に伝える。

それから1年後。舛城は「ジーニー」の店主から沙希と椎橋がアメリカに渡りマジシャンとして成功を収めている事を聞かされる。彼らは特別な存在としてマジックを演じるのではなく、大衆の中に存在する一人としてマジックを演じていた。それは即ち、彼らがマジックへの隷属から解き放たれ、マジックを道具として使いこなす存在に昇華した事を意味していた。もう彼らがマジックに孤独や悲しみを感じる事は無いだろう。

舛城は店主と静かに祝杯を上げた。染み入るささやかな幸せと共に。


とまぁこんな感じで物語は終幕を迎えました。今回こそ見事にハッピーエンドです。いいお話だったと思いますよ。思いますけどね、ぶっちゃけ椎橋の話長すぎ(;´Д`)。半分以上が椎橋の立身出世の過程に費やされていて、舛城にしても沙希にしても活躍の舞台は殆どありませんでした。

椎橋の歪んだ感性で進む犯罪ストーリーには、東野圭吾さんの「白夜行」に通じるどろどろ感がありましたね。読んでいて胸糞悪くなるって言うんでしょうか、何とも嫌な感じが付きまとうわけですよ。

その椎橋に自分自身を重ねてしまう沙希なんですが、彼女の内面描写があまりにも少ないので、どうしてそこまで椎橋に感情移入出来るのか、読者としてはちょっと説得力にかける感じが否めません。そういう見えないところは前作と合わせて読者の脳内で補完しろって事なんでしょうか。

「マジシャンの少女」で美由紀と出会いポジティブシンキングになったのかと思いきや、前以上にネガティブが進行しており、舛城はけんもほろろに追い返される始末。美由紀のカウンセリングは功を奏さなかったんでしょうかね(まぁしっかり治療を受けたわけじゃないんですけどね)。

今作で一応の完結を見せましたが、この文庫版で追加された最後のシーンで、ジーニーの店主から二人の活躍が「マジシャン」「イリュージョン」「フィナーレ」の3部作として刊行されている事を舛城が知らされるくだりがあります。

「フィナーレ」は沙希と椎橋がアメリカで成功するまでの過程を描いているらしいですので、この辺を中心にあと1作書かれるのかもしれませんね。ただ、これだと舛城は話に絡まない事になりますし、正直これ以上は蛇足かなと個人的には思ってます。

というわけで次回は「千里眼の死角」です。シリーズ外作品をクリアしましたので、これ以降は千里眼シリーズで突っ走る事になります。
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